LA BISBOCCIA

投稿者:

(広尾)ラ・ビスボッチャ。イタリア風イタリアンの中では最もゴージャス。イタリア政府公認レストランで、グルメビジネスマン風の方や外国人が多い。空間も素晴しく料理も美味しいが、値段は少々高め。

広尾の大通り沿いとは思えない重厚なファサード。いや、エントラータ。もう何度も訪問しているが、今回は特にプラント類が充実していてお屋敷っぽさが増している。

1

毎回思うのだが、外扉と内扉、両方とも引き戸になっている。どうしても内扉のほうを押してしまう。これは何か意味があるのだろうか。

bar

入り口左には、ウェイティングを兼ねたバーカウンターがあり、そこで荷物を預け、テーブルの準備を待つ。直ぐにテーブルに着くのではなく、ここで一杯飲んで気分を整える余裕をもちたいものだ(やった事はない)。アペリティーボにも使えるのだろうし、食後に一杯飲んでもいい。

2

ダイニングに案内されると、早速賑やかな喋り声や厨房の音。もちろんこの手の店では、心地よいノイズだ。やはり客層の良さに由る。いつもよりビジネスマン風の人が少なかったのは、夏休みシーズンだからだろう。
メインダイニングは禁煙だが、奥には喫煙可能の部屋もある。

日本における“イタリアン”のイメージは、小じゃれた内装に、白いクロスが綺麗にかかってフルコースディナーを静かに食べるようなところだが。こういう、ある種イタリアに居るような感覚の店は本当に居心地がいい。
個人的に一番好きなのは半蔵門の「エリオロカンダ」であるが、小さな店だと、姉妹店の恵比寿の「ボッカローネ」。更にコンパクトだが「ビルバンテ・ジョコンド」などもそうだ。

3

メインダイニングのオープンキッチンは、この店最大の特徴であり「本物感」を演出する。右端に見える女性(露詰さん)は、この先確実にイタリアン界の有名人になるであろう人。恐らく自らの店を構え、人気店になることは確実だ。彼女の動向を見届けて行きたいと思う。

20819560_1369582039815867_7935664712660019278_o.jpg

今日はブタ君の丸焼き、ポルケッタフェアをやっていた。扉にイラストが貼ってある。。

6

入り口の絵のごとく、顔がドーンとあったら見るだけも厳しいと思っていたら、頭も無く姿は面影を消しており一安心。折角なので、少しスライスして頂く事にした。

7

お決まりのワゴンによる食材紹介。近辺でいうと「アッピア」などと同じスタイルだ。最近この手のサービスは増えてきたが、やはりここは一つ一つのネタがしっかりしている。

a

出来るだけ品数を多く食べたいので、アラカルトの前菜の中から少しづつ盛っていただく。冷前菜として、ブッラータのカプレーゼ、平目のカルパッチョ、カポナータ。そしてブタ君のハム。ハムはじっくりグリルでローストしたのだろう。さすがに美味しかった。

b

早くもポルチーニ(もちろん生)が入荷していたので、リゾットにして頂き、あとは特大サザエとリングイネをジェノベーゼソースで。ポルチーニは生ならではの歯ごたえと、サザエも濃厚な味わいで大変美味しかった。

c

寄りで見てみると、食欲をそそる。
料理もそうだが、食器類もとてもシンプルで、トラディショナルな空間との相性も良い。

d

これだけなのに、結構おなかが一杯になってきたので、メインには行かず、温前菜にあったイカのトマトソースをオーダー。中にゲソやわたの一部やオリーブが入っており、オリーブの効き具合が絶妙で美味しい。タコイカ好きとしても十分満足できる一皿。やはりここの料理は満足度が高い。ただし、常に少な目でオーダーしていかないと、2人の時は大変だろう。

e.jpg

デザートは、定番のメリンガータとナッツ類のタルト、そしてマチェドニア。メリンガータは見た目はきついが、思ったよりも軽く、スイスイ食べられる。美味しい。

f

テーブル配置や調度品も、一つ一つ考えられている。なぜこの並び順なのか考えて頭の中でシミュレーションしてみると、バラバラのようでいてとてもバランスが良い事に気付く。

5

こちら料理のメニュー。これ以外に先ほどのワゴンのような、当日のオススメメニューがある。ただしこの手のイタリアンでは、メニューに従う必要は無い。ソースの種類を変えてもらったり、パスタ自体を変更してもらったりも出来るし、迷った場合は、ハーフサイズで二品にするなど、色々とわがままを言ってみるべきだ。

そうしたリクエストを面倒と思わず、逆にやりがいと感じるのがプロのサービス。そしてそのやり取り自体を楽しむのも、食事の楽しみの一つである。

DSC00905

ワインリストは、アルト・アディジェからシチリアまで、各地方のワインがバランスよく並んでいる。全てビンテージが若(過ぎる)いので、頻繁に更新されているのだろう。
先にスプマンテでも頂きながら早めに抜栓してもらっておいたほうが良いかもしれない。

現時点で、値段や品質を考えて、敢えて1本づつ選ぶなら、スプマンテはフェラーリのペルレ。ここでシャンパンを頼むのはナンセンス。白はテルラーノのウィンクル。若干苦みがあるが、万人受けするのでは。値段も安い。赤のリストは撮り忘れた。

4

後半のスペチャーレには面白いワインがあるが、ちょっと値付けが高い。特に、ピエモンテ&トスカーナはモノに対して高すぎる。
アルターレのランゲ・アルボリーナ03は、状態が良ければ飲んでみたい。アブルッツォは比較的リーズナブルでエミディオペペのダブルッツォやマシャレッリのマグナム等は興味深い(でも高い)。

【まとめ】

空間・サービス・味、これらが高いレベルでバランスよくまとまっており、お気に入りレストランの一つである。こういうレストランの存在はありがたく、様々なシーンで活躍してくれる。

ただ当然と言っていいのか、ターゲットの懐を見ているのか、値段が高い。特にワインは、市場価格を知っている身からすると高すぎる。

アルコールは楽に利益を上げられるものだが、同時に利益率を見透かされるリスクを伴うものでもある。料理は、仮に安価な食材を使っていても、美味しければ満足できる。ただしワインに対しては、満足度に関係なく、各銘柄に対しての市場価格が世の中に公開されているものなので、そこで損得を感じる人も多いだろう。

この手の「本場イタリアン」の中で、トップクラスの体験を得られるにもかかわらず、なぜ自分の中での一番がエリオ・ロカンダなのかといえば、それは “親近感” だろう。

ビスボッチャでも、自分自身、顔を覚えているスタッフもいるし、表情からすると、おそらく彼らも僕の顔を覚えているスタッフもいる。にもかかわらず会話として一線を越えてこない。スタッフの回転率(離職率)が高かったり、シフト制なのかもしれないので、そもそも覚えていないという事なのかもしれない。だとしても、もう一息、料理の説明の中に生活言葉を入れた会話をしてもよさそうなものだ。

もちろんこれは、あえてそういうスタイルにしているのかもしれないし、高級フレンチやホテルレストランのように、客から呼びかけるまでは、わざと知らんぷりをしているのかもしれない。

それに対してエリオロカンダは、長く働いているスタッフも多く、ある程度リピートしているお客さんには「お久しぶりです」「先日はありがとうございました」といったパーソナルな会話から入る。
小さなトラットリアなら当たり前のことかもしれないが、ある程度の規模で、そこそこの高級店というプレミアム感と、そうした温かみが同居しているのがエリオの良さだと感じている。オーナーの恰幅のいいエリオ自信が店内をウロウロしていることもあるかもしれないが、店全体が、親戚の会合のような温かさがある。本当なのかと疑うくらい、毎回のように「カンタグーリー…」の歌が響き渡る。もちろん平均単価もエリオのほうがリーズナブルだ。外国人客が多いのも頷ける。

もちろんそれは人それぞれの好みの問題だが、自分自身は、このエリオの温かさが好きだ。

改めて、ビスボッチャは心地よく過ごせる素敵なレストランである。加えて「イタリア政府公認」「広尾エリアの隠れ家的立地」「高めの価格設定」といった、ややバブリーでありながら、高級感を煽る形容詞が色々と加味される。それはそれでブランド力であり、勝負どころの接待やデートを後押ししてくれるだろう。

そういう役割をも担うことができる唯一無二のイタリアンではないかと思う。

menumenu

■公式サイト
http://labisboccia.tokyo/