Quand L’appétit Va Tout Va!

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(麻布十番)ついに解禁。新生「カラペティバトゥバ」。2016年12月21日のビル火災によって、営業停止を余儀なくされた同店。7か月ぶりに、同じ麻布十番にて、2017年7月10日より、ついに新装オープンした。1ヵ月半、訪問するタイミングを計っていたが、期待と不安を抱きつつ22時45分ごろに訪問させていただいた。この時間まで普通に素敵な食事が頂けて、かつ深夜0時まで営業されているのはとても助かる。

karaまず何より、どんなスタッフさんが働いているのだろうと「あの方はまだ居らっしゃるだろうか?」などと考えながら訪れたが、長さんはじめ、懐かしい顔ぶれがそのまま働いていらっしゃる事にウルっと来てしまった。店舗として移転に伴う費用も大変だったろうし、なにより売り上げが立たない分、賃金が払えない状態だったと思う。
当初は営業再開の見込みもはっきりしていなかったため、スタッフさんも転職されたりしたのではないかと思っていた。実際8名のスタッフのうち、3名は辞められたそうだ。

しかし、それ以外のスタッフさんは、シェフは他店で働いたり、サービスの方はホテルのルームサービスなどをしながら、来るべき時に備えていたようである。涙ぐましい話だ。

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訪問時に名前を憶えていてくださって。お礼を述べられたが、こちらこそ「再開してくれてありがとう」である。顔は覚えてくださいっていたが、名前まで覚えてくださっていたとは嬉しい限り。たしかに、7年の歴史のうち、5年ほど通い詰めてきたからか。

飲み物を聞かれたが、ここはもちろん、ボトルでシャンパンしかないだろう。リストを頂き、ちょっと珍しい物を頂いた、聞いたことは無いが、SANGERという作り手の、Les Oubliésというフラッグシップ。AVISのブラン・ド・ブランなので素性が良いのは間違いない。年産500本のうちの119本目のロットであった。119とえばまさに消防車である。

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周りの方が居ないのを見計らって、長さんとサービスの方に差し上げ、ともに祝杯を上げさせていただいた。麻紐のキャップを開けながら、親父ギャグを連発するのだが、以前よりもパワーアップされており、7カ月分が凝縮されているような、喋りっぷり。

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昨年の火災の時は、往年の中華屋さん「エリート」から出火し、カラペティ内は燃えはしなかったものの、店内は大量の煤で真っ黒になってしまったようである。当然使えなくなった道具などもいろいろあったようだ。

何より店の看板でもあった長い白木のカウンターだが、こちらも真っ黒になったのを、表面を磨き直して再利用している。全体的に以前よりも白くなっているのと、よく見ると、確かに木目の間が黒っぽくなっている。
移転に際して、これだけは何とか引き継ぎたいということで、手間をかけて復活させ、コの字型に形状は変わったが、あの頃のままの温もりがある。自分たちのアイデンティティを大切に守る。こういう心意気が、この店のサービス全体にも浸透しているのだろう。

火災時の状況や、再開までの苦労話などを伺いながら、料理をオーダー。メニューのスタイルも以前のまま。もちろん正面のワインクーラーも当時のままだ。

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このメニューだけでウルウルだ。長さんにオススメを尋ねると、1つ1つオススメといいながら、結局全てオススメとなるのは以前と同じ。

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アミューズ。今日行ったばかりなのに忘れてしまったが…、下にジュレが敷かれており、涼やかで美味しかった。

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栃木野菜とオマール海老のテリーヌ。ハーブが効いており、美しく美味しい。こちらも涼。

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蝦夷アワビのヴァプール。濃厚!パンが進む。小さめなので3口でペロリ。

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メニューには掲載していないが、フレッシュポルチーニのリゾット。予想どおりの味チーズのスライスが細かい。こちらもやや強めの味。

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マダガスカル産チョコレートのタルト。羽ばたくあぶら蝉のようだ。夏の終わりの儚さ。そろそろ彼らがひっくり返っている姿が増えてくる。

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以前と違ったコの字型カウンターは、客同士のコミュニケーションも生み出す。やはりカウンターに座られている方は、以前からのお客さん。長さんの親父ギャクが炸裂した時は、思わず客同士で目が合って笑いを共有できる。

カウンター以外には、右側にシェフズテーブルの6人個室。奥に2人がけテーブルが4卓。もちろんこれは組み合わせで8人まで対応する。そして正面にうつるテラス席である。このように様々なスタイルで楽しめる。今後に期待を持たせるつくりだ。外部のインテリアデザイナーなどに委託するのではなく、サービスの方も設計に深く携わって進めたようである。

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このユニマットビルは、正直あまり良い印象はない。上階は、以前の青山のユニマットビルと同じく、ちょっとミーハーなプール付きレストラン。あのヒルトップカシータ。こちらの建物はバブリーなラウンジも入っている。しかも今度も中華と接しているのではないか!

DSC01187カラオケパセラのような、なぜかアジアンなディスプレイの光るビルエントランス、外部がシースルーの、ちょっと古びたエレベーター。こういうハードの全てが、あまりいい印象は無く、このビルに移ると聞いたときに「あぁ~….」と残念な気持ちであった。
古びたビルの細い階段で2階に上っていくというところに味わいがあったので、エレベーターで上っていくというのは、どうにもカラペティバトゥバのイメージではない。

実際、場所柄もあってか、テーブル席には、明らかに以前の客質と異なる方々も着席されていた。

しかしながら、やはりエレベーターを降りて白木のカウンターに座った瞬間、そこはカラペティ・バトゥバであり、以前と変わらない安心感に包まれた。こちらから店と向き合う気持ちがあれば、きちんと応えてくれる店。

この先、サービスが落ち着いてくれば、以前には無かった魅力が増えてくることだろう。

■公式サイト
http://quandlappetitvatoutva.com/