人形町今半 喜扇亭

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(人形町)人形町今半本店の鉄板焼き。一般的に今半で通っているが、すき焼きは今半、鉄板焼きは喜扇亭と分けられている。由来はさておき、電話番号は同じで、人形町今半本店の場合は「一階の鉄板焼き」と呼んでも何も問題ないが、ミッドタウン店などは今半の名ではなく「喜扇亭」となり店名に今半の名はない。

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やはりこの佇まいは由緒正しき感がして良い。通りではなく、暗い小路に面しているところも趣がある。

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カウンターもあるが、今半の魅力は、やはりこちらの半個室である。焼き手さんとの会話を独占できるし、ホールのサービスも慌ただしくなくてよい。

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車海老2尾。もちろん活き海老だが、このように綺麗に焼き上げる。活けだからこその見事な縞模様。暴れないのは事前になにか手を加えているのかもしれない。

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包丁のみでスルスルと剥いていく様は見事なものだが、殻を外して、頭・腹・尾・腕と4か所に分けられる。これぞ日本の鉄板焼きだ。プレゼンテーションである一方、料理に対する美意識の高さ。

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頭から腕の部分と、尾はせんべい状にして綺麗に並べて具される。

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ニンニクは青森産。農家から直接買い付けているそうだ。

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とにかくこの焼き加減が見事。3割ほど生の風味を残しており、かつベタつかず、絶妙すぎる。生の風味があるのに臭みもない。たっぷりとボリュームがあってもサクサク食べれてしまうから恐ろしい。もちろんニンニクの量は、お好み次第。1つでも2つでも必要な量だけ。

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丸しいたけ、バターナッツかぼちゃ、ツルムラサキの茎が緑のタイプ。丸しいたけは神戸産で、マッシュルームとの掛け合わせのようである。調理する前後において、常に整然と並べられている。車海老の時も書いたが、このようなプレゼンテーションは、欧米ではまず見られないのでは無いか。
盛り付けや、絵画のようなソースでデコレーションする事はあっても、素材を整然と並べて、素材の味を引き立てる調理。

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最近このように整然と調理してくれる鉄板焼きも少なくなった。
バターナッツかぼちゃはシナモンの風味で、焼き加減もちょうど良く美味しい。つるむらさきはは独特の粘りがある。丸しいたけについては、これはちょっと中途半端か。ビジュアルの面白さはあるものの、香りが弱い。ここは普通のしいたけのほうが良い。ただし、確かにまだ椎茸の時期では無いので、マッシュルームもどきになっているのだろうか。無理にキノコ類に拘ることなく、焼きナスでもなんでも、旬の野菜の組み合わせで良い気がするが。

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今日の肉は秋田から。上・特上・極上の3種から選べる。話を聞いたところ、極上はサシの違いのようだったので、特上とした、上記は、ひれの150g。

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この焼きあがる様を見ているのも鉄板焼きの魅力だ。この間、焼き手さんと食材の話などがいろいろ進む。ここでの楽しさは職人さんの力量次第。焼き方の良し悪しもあるだろうが、やはり話のうまい方だと、この時間の空気が全然違う。2人だけなど、少人数の際はなおさらだ。

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こちらがレア。ひれにしては結構脂身が多いのと、やはりサシにもばらつきがある。肉質はそれほど高くない。炭火と違って、鉄板焼きは肉からの脂の逃げ場が無いので、最初からある程度脂身の少ないものでないと、どうしてもべたついてしまう。ここは頑張ってほしいところ。

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ガーリックライス。火加減弱めなので、チャーハン的ではなく、バターライスというほうが近い。これも焼き手さんによって異なる気がする。ガーリックチップもそうだったが、今日の焼き手さんは比較的マイルドに仕上げる方で、これは好感が持てた。

これ以外に、最初にサラダをオーダーしていたが、ヒレ150gにしてもボリュームはちょうど良く、食べ過ぎた感じにはならない。

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趣のあるファサード。できれば夜の時間は、右のメニュー台を外してほしいところだが。

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ワインは3000円にて持ち込み可能。他店では持ちこみをする際は、ちょっと気が引けるものだが、ここは持ち込んでも笑顔で対応頂き、何一つ嫌な顔をしない。焼き手の方がボトルを見るや、「ブルゴーニュグラス2つ」とリクエストしていたので、安心感もある。
今回の持込は、ローラン・ルーミエのクロ・ヴージョ。ステーキにブルゴーニュってのに違和感を感じる方も居るかもしれないが、まずは、飲みたいワインを飲むのが鉄則だと思っているし、このクラスのクロ・ヴージョになれば、肉にもまったく負けない。

なお、ここのワインリストはなかなか優秀だ。特に秀逸なワインが揃っているわけではないが、老舗の鉄板焼店としては素性の良いものが揃っている。

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道具の数々。ラギュオールのナイフは、あまり研ぎすぎると良くないらしい。台と良い、木箱と良い、なんとも味のある佇まいである。無駄にスタイリッシュじゃないところが良い。

ここでいつも思うのは、シンプルな中に感じる美意識だ。それは美意識というよりも、本来こうした店が持っていた品格であり、後からプロデュースされたものではない。

個室に入ったときのしつらえから、各々の食器類。準備された食材、調理の流れ、仕上げられた料理なども。必要十分で無駄が無い。